切符売り場の路線図 - 身近な INFO DESIGN #3
これはもう定番。情報デザインの代表格、路線図。
電車の車内や駅のホームにあるもののイメージが一番強いかと思いますが、
切符売り場にもありますね。
切符売り場バージョンの特徴は、切符の値段が書いてあること。
いくらの切符を買えばいいのか?がわかります。
最近はPASMOなどICカードが増えてきて、切符を購入する機会は減ってますが、
海外旅行者などには必要ですね。
さてこの切符売り場の路線図が、どのような構造で成り立っているかを、
情報デザイン的に分解してみましょう。
情報デザインの基本は、以下の人の思考・行動の流れを支えることです。
1)やりたい
2)知りたい
3)情報が手に入る
4)わかる
5)行動できる
では路線図に当てはめてみましょう。
1)銀座に行きたい。
2)何線に乗り、どう行けばいいか、いくらかかるか知りたい。
3)切符売り場で見上げればそこにある。
4)赤い路線一本で、200円。凡例で赤は丸の内線とわかる。
5)切符を購入し、改札を経て乗車。
という流れです。
乗客に、この流れにスムーズに乗ってもらうためには、何をどう考え、どうすればいいのか。
こういう思考が、情報デザインです。
ではやってみましょう。
まず、誰のどういう場面なのかを明確にします。
主人公=台湾からハネムーンに来た新婚さん
ニーズ=銀座でお買い物
前提条件=新宿のホテルに泊まり、これから移動。
漢字は母国のと似てるので大体読める。英語はOK。
次に、中心となるシーン(切符購入)を詳細に描きます。
・とりあえず改札近辺まで来る
・きょろきょろして切符とかTicketとかの看板や、券売機っぽいものを見つける
・券売機前まで来て、”さてどう行けばいい?”と考える。
・大きな路線図が目に入る
・”銀座はどこ?”と探す→見つかる。同時に「200」も目に入り、200円と理解する。
・”ここからどう行く?”と、新宿を探す。→見つかる。
・”何線?”→赤い線が銀座までつながってるとわかる。
・”赤は何線?”→凡例で「丸〇内線」を認知。
・”それはどこ?”→きょろつくと改札口の看板に赤い丸と「丸〇内線」という文字が見え、ここでいいと理解する。
・券売機で切符購入
・改札を経て乗車
こんな感じですね。
この流れを支えるために、どのようなことを考えるかというと。
■路線図を置く位置
切符売り場近く。
とにかく目立つように。多くの人から見えるように、上に。大きく。
■目立たせるべき要素
駅名、料金、路線のつながり。
駅名と料金は大きくはっきり。路線は色分けし、それがわかるように面積(線の太さ)を太く。
重なったところは境界がわかりやすいように縁取り。
どの色が何線なのかは、本当は線の上にでも重ねてどこを見てもわかるようにしたいけれど、
ごちゃごちゃしすぎてしまうので、凡例として切り出す。
凡例はたいていメインの図の四方のどこかの隅にあるので、慣例に従って配置。
■そこまで目立つ必要はないけど必要な要素
子供料金、注意事項。
文字のサイズは一回り小さく、場所も隅のほう。
「その情報が必要な人が、探せば見つかる」程度の位置や表現。
このようなことを考え、位置や構成や文字サイズや表現のメリハリを決めていきます。
何の苦労もなく、当たり前のように使えている情報。
それは、実はこういった、しっかりした設計に基づいて提供されているのです。
いいですねー。情報デザイン。
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